エンゲージメントサーベイSaas(ツール)は不要です。コスト観点やAIの進化による内製化の展望についてもプロが解説

これまで中小企業を中心にDX支援を起点とした経営変革を支援してきたAIzen株式会社が、
昨今流行りのSaas-エンゲージメントサーベイツールの必要性について、経営者の声/事例に基づきつつ、「本音」ベースの解説をさせていただきます

※よくあるありきたりな話ではなく独断も多分に含む内容ですが、フラットな意見として経営ご判断の一助となれば幸いです


目次

エンゲージメントサーベイSaasが不要な理由

「組織の課題を見える化する」エンゲージメントサーベイSaaSですが、その効果に見合わない、あるいはむしろ組織に悪影響を及ぼす可能性があるため、多くの企業にとっては不要だと考えられます。

特に、コスト、KPIの増加、そして組織内の不信感の醸成という観点から、その必要性を再検討すべきです。

不信感の種になる

エンゲージメントサーベイは、従業員が「言いたいこと」を匿名で書ける場を提供しますが、その後の企業の対応によっては、強烈な不信感の種になり得ます。

  • 「望まない上層部」の登場:匿名回答に基づいたネガティブな意見や具体的な課題が経営層に可視化された結果、「問題を解決する」という名目で、従業員が望まない形での人事異動や組織変更が行われることがあります。
  • 「違和感のあるMTG」の設定:サーベイの結果を受けて、形式的・儀礼的な「改善のためのミーティング」が設定されます。しかし、従業員側は「本音を書いたところで、結局上層部がやりたいことしかやらない」と感じ、形式的なアクションに嫌悪感を抱くようになります。

SaaSツールが提供するのは、あくまで「可視化めいたものでしかありません。この可視化にアクションが伴っても、結局のところ、組織の根本的な問題は解決されず、問題が「サーベイ結果とアクション」という領域に移動するだけで、従業員は「どうせ何も変わらない」という学習性無力感を覚えます。

何より、組織側の意図を理解している、メタ視点のある優秀な社員が本当にこのエンゲージメントサーベイ、とやらに本音を書くことはあるのでしょうか?

新卒などのケースを除けば、組織の意図(例:マネジメントが機能していないが、取り急ぎ外部公開用の良いデータほしいんだろうな、、)はダダ漏れです。

経営に無駄なKPIを増やし、組織の問題がKPIの問題に置き換えられてしまう

サーベイSaaSを導入すると、エンゲージメントスコアやeNPS(Employee Net Promoter Score)といった新たなKPIが設定され、経営層からその改善が求められがちです。

しかし、これらのスコアはあくまで結果を可視化したものに過ぎません。スコアを改善するための活動が、組織のリアルな問題解決ではなく、「スコアを上げるための施策にすり替わってしまうことが頻繁に起こります。

本来、組織の課題は「コミュニケーション文化」「部門間の連携不足」「評価制度の不透明さ」など、定性的なコミュニケーションや具体的な仕組みの改善によって解決されるべきです。
何より、組織の課題についてもドライに言えば、売上を上げるものか、コストを下げるものか、のどちらかに効いていればよいのです。単純な問題を複雑化させればさせるほど、Saasと経営の粘着性は上がる、という事実を直視しましょう。

それが、「エンゲージメントスコアが低い」というKPIの解決に置き換えられてしまうと、本質的な問題は手つかずのまま、表面的な「スコア改善対策」に時間とリソースが浪費されることになります。

コストが高い

エンゲージメントサーベイSaaSの多くは、利用する従業員数に応じた月額または年額の従量課金制を採用しています。

  • 初期導入費用:数十万円〜数百万円
  • 月額/年額利用料:従業員1人あたり数百円〜数千円 ×従業員数

例えば、従業員数が1000人の企業で、一人あたり月額500円(年間6,000円)のSaaSを導入した場合、それだけで年間600万円ものコストが発生します。

また、サーベイの設計支援や分析コンサルティングなどのオプションサービスを追加すると、さらに高額になります。
この高額なコストを支払い続けて得られるアウトプットが、本当に組織の根本的な課題解決につながっているか、冷静に判断する必要があります。


AIの進化による内製化の展望

現在、エンゲージメントサーベイSaaSが担っている「アンケート作成」「データ収集・集計」「基本的な分析」といった機能は、AIと汎用的なクラウドツールの進化により、驚くほど低コストで内製化が可能になっています。

内製化を可能にするツール群

機能従来のSaaSの代替となるツールAIによる進化・展望
アンケート作成・実施Google Forms, Microsoft Forms, SurveyMonkeyChatGPT/Copilotなどの生成AIによる設問設計・レビュー。組織の課題に応じた質問文をAIが提案。
データ収集・集計Google Sheets, Excel, kintoneRPAやGAS(Google Apps Script)による自動集計。ローコード/ノーコードツールでダッシュボード化が容易に。
高度な分析・示唆出しBIツール(Tableau, Power BI)生成AI定性的なフリーコメント感情分析・傾向分析し、組織の真の課題を言語化。改善アクションのたたき台を生成。

内製化のメリット

劇的なコスト削減
SaaS利用料が不要になり、ツールの月額費用(数千円~数万円)や人件費のみで運用可能。

データ主権の確保
全てのデータが自社の管理下に置かれるため、セキュリティや柔軟な分析が可能になる。

組織課題のダイレクトな理解
ツールを介さず、現場の担当者が直接データを触り、AIによる分析結果を読み解くことで、組織の課題をより深く、リアルに理解できる。

AIの進化により、高額なSaaSに頼らずとも、組織内の知見安価な汎用ツールで、サーベイの実施から分析、示唆出しまでを一貫して行う時代が来ています


エンゲージメントサーベイSaasが必要な企業

前述の通り、エンゲージメントSaaSは多くの企業にとって不要ですが、例外的にその導入が目的と合致し、必要とされる企業も存在します。それは、「とにかく権威性になる数字がとりあえず欲しい」企業です。

とにかく権威性になる数字がとりあえず欲しい

企業がSaaSを導入する目的が、組織改善ではなく、対外的な権威性の担保採用・人事施策にある場合です。

採用ブランディング
エンゲージメントスコアが業界上位〇〇%」といった、外部機関や競合との比較に使える「謎の人事で使える数字」が欲しい場合。

形式的な施策
投資家や取引先に対し、「当社は従業員のエンゲージメント向上に努めている」という形式的なアピールのための数字が必要な場合。

特定のSaaSが提供するベンチマークデータ権威あるレポートが、あなたの会社の採用活動企業広報にとって絶対的な価値を持つのであれば、その目的のためにコストをかけることは戦略的な選択として許容されます。ただし、その目的が組織の根本的な改善ではないことを明確に認識しておく必要があります。

もし貴社が組織の根本的な課題解決を求めているのであれば、高コストで本質的な問題解決を遠ざけるエンゲージメントSaaSの解約を強く推奨します。

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まとめ

エンゲージメントサーベイSaaSは、その高コスト、KPIの増加による問題のすり替え、そして組織内の不信感につながるという観点から、多くの企業で不要です。AIの進化により、内製化の道も開けています。

しかし、外部への権威性やブランディングを目的とする場合に限り、その導入は戦略的な選択肢となり得ます。貴社の真の目的がどこにあるのかを再確認し、SaaSツールの継続利用の是非を判断されることをお勧めします。

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