中小企業からサンリオなどの大手企業まで、計100社以上へのAI・DX支援実績あり。
AI(Antigravity等)導入設計/開発からkintone等のSaas開発・運用伴走が得意領域。
「予算が少ない」「既存の業務を変えずにデジタル化したい」そういったお客様のご状況を踏まえて、最適な提案を進めることを心掛けています!
本記事を読めば、月間IT固定費27万円を9万円にまで圧縮した実際の手順を、SaaS・RPA・外注の3領域に分解して自社に再現できます。
削減効果が出やすい順序とリスク回避のポイントまで、数値と判断基準を交えて解説します。
ITツールの固定費が膨らむ3つの構造的要因

IT関連の固定費が想定以上に膨らむ企業には、共通して3つの構造的な要因があります。まず、これらの要因を分解して可視化することが削減の出発点になります。
SaaSの月額課金がユーザー数・サービス数に比例して増加
SaaSの料金体系は、ユーザー数課金とサービス数の積み上げで設計されています。営業・マーケ・経理・人事・情報システムといった部門ごとに別々のSaaSを導入すると、全社で5〜10種類のSaaSが並行稼働している状態になりがちです。
1サービスあたり月額数千〜数万円でも、サービス数と人数が増えれば月額の合計が10万円〜30万円規模に膨らみます。さらに、実際には使われていないアカウント分まで課金が発生するため、社員数の増加に比例して無駄も累積します。
RPAの保守・シナリオ修正費が毎月発生する
RPAは「業務を自動化して人件費を削減する」手段として導入されますが、実態は保守・修正コストが毎月発生する固定費に変わるケースが多くあります。連携先の業務システムやWebサイトのUIが変わるたびに、シナリオの修正作業が必要になるためです。
RPAベンダーの保守契約は月額3万〜10万円が相場で、ライセンス費用を含めると年間50万〜150万円の固定費になります。稼働しているシナリオ数が少ない場合でも、保守契約は継続で発生するため、コスト効率が悪化しやすい性質を持ちます。
外注費が月額固定契約で業務量に関わらず発生する
コンサルやWebマーケティング、経理代行などの外注は、月額顧問料・月額リテイナー契約が基本です。業務量が少ない月も満額請求され、繁忙期には追加費用が発生するという非対称な構造になっています。
月額10万円の外注を3社抱えると、年間360万円の固定費です。内訳を稼働時間で割り戻すと時給換算で数万円相当になっていることも多く、業務量と支払額の乖離が広がります。
ITツールの固定費を削減する3つのアプローチ

IT固定費の削減アプローチは、対象領域ごとに3つに整理できます。
| アプローチ | 削減対象 | 月額削減効果の目安 | 必要な投資 | 削減難易度 |
|---|---|---|---|---|
| SaaSライセンスの棚卸しと最適化 | SaaSの月額課金 | 月額の30〜50% | ゼロ(棚卸し工数のみ) | 低 |
| RPAからAPI連携・AI自動化への移行 | RPA保守費・ライセンス費 | 月額の50〜100% | 初期開発費(数十万〜) | 中 |
| 外注業務のAI内製化と買い切りツール導入 | 外注の月額固定費 | 月額の70〜100% | 初期開発費(数十万〜数百万円) | 中〜高 |
アプローチ1:SaaSライセンスの棚卸しと最適化
最初に取り組むべきは、SaaSの利用実態を管理画面で確認し、使われていないアカウントを整理する作業です。特別な投資が不要で、リスクもほぼゼロでありながら、即効性のあるコスト削減につながります。
ライセンス数の最適化だけでなく、上位プランから下位プランへの見直し、同じ機能を持つSaaSの重複解消も併せて行うことで、月額の30〜50%を削減できるケースが多くあります。
アプローチ2:RPAからAPI連携・AI自動化への移行
RPAで動かしている処理のうち、連携先システムがAPIを公開している業務は、API連携ツールに置き換えることで保守コストを構造的にゼロに近づけられます。UI操作を自動化するRPAと違い、APIは画面変更の影響を受けないため、保守負担が激減します。
PythonやNode.jsで数十〜数百行のコードを書き、クラウド関数(AWS Lambda・Google Cloud Functions)で実行する構成なら、月額のクラウド利用料は数百円〜数千円に収まります。RPAの保守費月5万〜10万円と比べて圧倒的に安価です。
アプローチ3:外注業務のAI内製化と買い切りツール導入
外注している業務のうち、定型的なデータ収集・加工・レポート作成は、AIと買い切り型の自社専用ツールで内製化できます。分析・施策提案といった専門判断が必要な部分だけをスポット契約に切り替えることで、月額固定費を大幅に圧縮できます。
買い切り型ツールの初期費用は発生しますが、月額外注費との比較で6〜12ヶ月で回収できるケースが多く、回収後は純粋なコスト削減効果が毎月積み上がる構造に変わります。
固定費削減の実践ステップ|効果が出やすい順序

固定費削減は、着手順序を誤ると効果が出にくく、現場の混乱も大きくなります。以下の順序が最も成功率が高いと考えています。
ステップ1:SaaSライセンスの利用実態を可視化し不要分を解約
最初に行うのは、全社で契約しているSaaSのリスト化と、各SaaSの管理画面でのアクティブユーザー数の確認です。契約ユーザー数とアクティブユーザー数の差分が、即座に削減可能な金額になります。
このステップは、追加の投資ゼロ・業務影響ほぼゼロ・即効性ありという条件が揃っているため、最初に取り組むべき作業です。多くの企業でここだけで月額3〜10万円の削減が可能です。
ステップ2:RPAの保守コストとAPI連携への移行コストを比較
次に、稼働中のRPAシナリオを棚卸しし、「API連携に置き換え可能なシナリオ」「RPAのまま継続すべきシナリオ」を選別します。連携先がAPIを公開しているか、業務ロジックが安定しているか、月間実行回数が多いかの3点で判断します。
API連携への移行には初期開発費が発生しますが、RPAの月額保守費が5万円を超える場合、1年以内に回収できるケースが大半です。ステップ1のSaaS見直しで捻出できた削減分を、この移行投資に充当すると資金繰りが楽になります。
ステップ3:外注業務のうちAI自動化可能な領域を内製化
最後に、月額固定契約になっている外注業務を「定型部分」と「専門判断部分」に分解します。定型部分はAI自動化で内製化、専門判断部分はスポット契約に切り替えることで、月額固定費を大幅に変動費化できます。
このステップは、ステップ1・2と比べると初期投資額が大きくなる傾向がありますが、年間数百万円規模の削減効果が見込めます。最後に取り組むのは、初期投資の原資をステップ1・2の削減額で確保するためです。
【実務で起きた事例】月間IT固定費27万円を9万円に削減した方法

私が支援した社員約40名の中堅企業では、IT関連の月額固定費が合計27万円(年間324万円)に達していました。内訳は以下の通りです。
| 費用カテゴリ | 内容 | 月額 | 年間 |
|---|---|---|---|
| SaaS5サービス | プロジェクト管理・CRM・チャット・ストレージ・人事労務 | 12万円 | 144万円 |
| RPA保守 | 経理・受注処理の自動化シナリオ5本 | 5万円 | 60万円 |
| 外注レポート作成 | Webマーケティングの月次レポート | 10万円 | 120万円 |
| 合計 | ― | 27万円 | 324万円 |
この27万円を段階的に見直し、最終的に月額9万円(年間108万円)まで圧縮しました。以下、3ステップの詳細を共有します。
5つのSaaSサービスのライセンス最適化で月3万円を削減
最初のステップで、5つのSaaSの管理画面を開き、過去90日のアクティブユーザー数を洗い出しました。結果、全社契約の30ライセンスのうち、実稼働は19ライセンスのみ。残り11ライセンスが完全に休眠状態でした。
対応として、以下の最適化を実施しました。
| 対応内容 | 削減効果 |
|---|---|
| 休眠ユーザー11名分のライセンス削除 | 月額約1.5万円削減 |
| 上位プランから下位プランへの変更(CRM・ストレージ) | 月額約8,000円削減 |
| チャットSaaSとプロジェクト管理SaaSの機能重複を整理し1サービス解約 | 月額約7,000円削減 |
| 合計 | 月額約3万円削減(SaaS費用12万円→9万円) |
着手してから完了まで約2週間。投資ゼロ・業務影響ゼロで、年間36万円の固定費削減を達成しました。
RPA保守費月5万円をAPI連携への移行でゼロに
次に、5本のRPAシナリオを棚卸ししました。内訳は受注データの基幹システム転記が2本、経理の仕訳データ取込が2本、Webスクレイピングが1本でした。連携先のシステムを確認すると、受注データと経理データの合計4本はすべてAPIを公開しており、API連携への置き換えが可能と判断しました。
Python×Google Cloud Functions×各システムのAPIで書き直した結果、以下の構成に切り替えました。
| レイヤー | 使用技術 | 役割 |
|---|---|---|
| スケジュール実行 | Cloud Scheduler | 日次・時間次の自動実行 |
| 処理基盤 | Google Cloud Functions(Python) | データ取得・変換・転送 |
| 連携先 | 基幹システム・会計ソフトのREST API | 入出力 |
| エラー通知 | Slack Webhook | 失敗時のアラート |
開発工数は約120時間(4シナリオ合計、外注費換算で約150万円)。一方、移行後のクラウド利用料は月額1,000円以下になり、RPA保守費5万円をゼロ化できました。年間60万円の削減で、初期投資150万円は2年6ヶ月で回収できる計算です。
残り1本のWebスクレイピングはAPI非公開のためRPAのまま残しましたが、他の4本の削除でRPAライセンス自体も下位プラン化し、保守契約は解除しました。
外注レポート作成月10万円をAI自動化で内製化しゼロに
最後のステップで、月額10万円で外注していたWebマーケティングの月次レポート業務を、AI自動化で内製化しました。ChatGPT API×Google Analytics Data API×Search Console APIを組み合わせ、月初に自動でレポートを生成し、関係者にメール配信する仕組みを構築しました。
ただし、分析と施策提案の部分はAIだけでは精度が不足していたため、月1回のスポットコンサル(月額3万円)に切り替えました。結果、月額10万円の外注費が月額3万円の変動費に変わり、月額7万円削減(年間84万円削減)を達成しました。
最終的な変化を表にまとめると以下の通りです。
| カテゴリ | 削減前 | 削減後 | 月額削減額 |
|---|---|---|---|
| SaaS5サービス | 12万円 | 9万円 | 3万円 |
| RPA保守 | 5万円 | 0円 | 5万円 |
| 外注レポート | 10万円 | 3万円(スポットコンサルのみ) | 7万円 |
| 合計月額 | 27万円 | 12万円 | 15万円 |
※ 実際にはスポットコンサル分を含めない「純粋な固定費」で見ると、27万円→9万円(月額18万円削減、年間216万円削減)となります。初期投資(RPA移行とレポートAI化の合計約250万円)の回収期間は約14ヶ月で、2年目以降は年間200万円超のコスト削減が蓄積します。
固定費削減で注意すべきリスクと対策

コスト削減を進める際は、業務品質・セキュリティ・現場の受容性という3点に注意が必要です。
コスト削減によるセキュリティ体制の低下リスク
SaaSの解約やRPAの切り替えに伴い、セキュリティ体制が弱くなるケースがあります。特に、ISO27001・SOC2などのセキュリティ認証を持つSaaSから、自社運用のオープンソースツールに移行した場合、認証取得コストを自社で負担できないため、結果的にセキュリティレベルが下がります。
対策として、削減対象の選定時に「セキュリティ要件の棚卸し」を並行で行うことが重要です。認証必須の業務・個人情報を扱う業務・金銭取引に関わる業務は、月額が高くても認証済みSaaSを継続する判断が必要です。
内製化した業務の品質担保とチェック体制
AIによる自動化や内製ツールは、「処理は速いが誤りに気づきにくい」という性質を持ちます。外注先が手動で行っていた際に発見されていたデータ異常値や計算ミスが、AI化後はそのまま納品物に反映されるリスクがあります。
対策として、自動化の出力に対する人間レビューの工程を業務フローに組み込むことが必要です。月次レポートなら担当者が10分目を通す、請求書なら経理担当者が金額を確認するなど、最終チェックポイントを残します。
段階的に進め一気に切り替えない重要性
SaaS解約・RPA廃止・外注契約見直しを一斉に行うと、業務停止リスクと現場の混乱が発生します。支援経験から、成功するペースは1年で2〜3つのカテゴリの見直しが現実的です。
推奨する進行順は、最初の3ヶ月でSaaS棚卸し、次の6ヶ月でRPA移行、最後の3ヶ月で外注内製化、というペースです。各段階で成果を定量化し、次のステップへの原資として組み込むことで、持続的なコスト削減サイクルを作れます。
まとめ
IT固定費の削減は、SaaS・RPA・外注の3領域を分解し、段階的に見直すことで着実に成果が出ます。最初はリスクの低いSaaSライセンス最適化、次に保守費の高いRPAのAPI連携移行、最後に外注業務のAI内製化という順序が、資金繰りと現場負荷の両面で最も現実的です。
今回紹介した事例では、月間27万円の固定費が9万円にまで圧縮され、年間216万円のコスト削減効果を生み出しました。削減分を成長投資に回せる構造に変わった点が、単なるコストカットとの大きな違いです。
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